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コラム『家族だって他人』第46回 ゆっくり家族になればいい 


 家族とはなんぞや、という探究もそろそろ終わりが近い。今回は、家族の成り立ちを考えてみたいと思う。

 家族とはごく小さな一つの集団である。そして改めて言うまでもなく、その形は多様だ。関係性も、凝集性―平たく言えば家族間の結びつきも、家族によって違うし刻々と変化していく。

 例えば家族の結びつき具合。これを表す言葉にはチームとかユニットとかそういった言葉があるが、個人的には、チームというと密集感が高くて、少しタイトだけれど堅固な感じがする。一方でユニットというとチームほど凝集性は高くなく、風通しの良い自由さがある反面やや頼りなげな印象を受ける。それを踏まえて今これを読んでいるあなたに問いたい。あなたの家族の密着具合はどうだろうか。チームだろうかユニットだろうか。あなたとパートナーは? あなたとお子さんは? あなたと親御さんは?

 例えば、夫婦はチームで子どもとはユニットという家族もあるだろうし、その逆もあるだろう。子どもという立場からすれば、所属感の強いチームにいるだけで安心を得られるかもしれない。チームやユニットという言葉がそぐわなければ、違う言葉で置き換えてみてももちろん構わない。

 絆という言葉はあまり好きではないのであえて使わないが、そういった家族の結びつきは一朝一夕で得られるものではない。家族の中の大小様々なイベントー危機を迎えて乗り越えるとかメンバーが増えるとか減るとか、成長するとか独立して行くとか戻ってくるとか、そういったことを経ながら少しずつ熟して行くものだと思う。

 いきなり猛スピードでもって家族内で割り振られる役割を果たすポジションに立たなければならないようなことは、虐待やD Vに曝されるなどのケースを除けば、そんなに多くはない。

 大人の目線で言えば、子どもが生まれる時や家族の死に直面した時などに限られるのではないか。そして多くはそのスピードについていけないこともある、というかついていけないことがほとんどであろう。子どもが生まれたから

「はいあなた今日から親ですよ!親なんだから甘えないでしっかりね!」

と言われて

「はいわかりました!頑張ります!」

と少しの迷いも揺らぎもなく言い切れる人はそんなにいないのではないかと思うが、どうだろうか。子どもの反抗期突入も然り。ある日突然可愛い子どもから

「うるせえクソババア!」

と言われて

「おお来た来た」

とニヤニヤできるのは一部の人だけで、多くの親は戸惑い不安になるだろう。しかし悲しいかな、人は自分が家族関係の中で戸惑った経験を忘れてしまいがちだし、今の家族関係はずっと昔から変わらずあったように感じてしまう。親になることにせよ子どもが反抗期に入ることにせよ、よくよく見れば本当はちゃんと助走の期間があるわけだが、展開があまりに早いと心と体がついていけなくなるのは当たり前である。

 ゆっくり家族になればいい。木の実が熟していくように、果実酒が飲み頃になるのを待つように。

 それでもどうにも乗り遅れたような気がして心苦しくなったり、逆に急いでしまって息切れがした時、一人で待つのが辛い時には、我々のような専門家がいることを思い出していただければと思う。
                     (文責:C.N)


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