head_img_slim
HOME > コラム(note)のページ > 第三回コラム

第三回 ケアに疲れたあなたへ


 本コラムも3回目を数えますが、その間に4回目の緊急事態宣言が出され、また少し世間がざわついていますね。
 筆者も、3回連続新型コロナの話は何だかなあと思いつつ、今回も新型コロナと少し関連したトピックです。


 先日、NHKの時論公論にて、東畑開人先生が「体がそこにあれば自然とケアが生まれる」という言説に絡めて、コロナ禍での人の心について語っていらっしゃいました。詳しくはリンク先をお読みいただきたいのですが、これまで体が自然に担っていたケアを、言葉にしてやっていかなくてはならなくなったことの大変さに触れられています。

 同じ場所に自分以外の他者がいれば、そこにはケアが生まれる。その通りだと思います。こうして生まれるケアが、短期間で済んだり一過性の物であれば、ケアする側に負担感はあまりないのではないでしょうか。

 しかしこのコロナ禍では、リモートワークや外出自粛で四六時中同じ空間にいることによって、ケアは「自然と生まれるもの」から「せねばならないもの」になってしまいました。
 最初の緊急事態宣言以降、それまではほどよい距離感を保てていたパートナーとの関係や親子関係が、傷つきやすくなったり苦しく感じたり、というご経験をなさった方もいるのではないでしょうか。筆者は、それはおそらく「せねばならない」ケアの負担感が大きいからではないかと考えています。

 そして同時に、これとよく似た負担感として、子育てにおける疲れを思い出します。特に乳幼児期の、ひりひりするような切迫感と息もつけないような緊張感の中での子育て。言葉でのケアもおぼつかない相手をケアし続けるのは、前回述べた先行きの見えなさと相まって、養育者の不安と孤独をかき立てます。毎月のように報じられる、親子心中や親による乳児殺害、介護者による虐待など悲しい事件の発端のどこかには、この種の負担感があるのではないかと思えてなりません。
 今まさに子育て真っ最中の方、今は少し子育てが一段落した方にとっては、そういった報道に触れるにつけ「あの時私もつらかった」「1歩間違えたら私も・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 ご自分としてはいつも通り普通に暮らしているはずなのに、なぜか苦しい、自分がやれる精一杯のことをしていたら、何だか疲れてしまってもやもやする、といった言葉にならない気持ちを抱えていらっしゃる方には、日常的なケアではなく、専門的なケアが必要なことがあります。
 そんな時には、みこと心理臨床処にお気軽にお問い合わせください。お力になれることがきっとあります。(文責:C.N)



コラム(テキスト版)倉庫

2022.12.26 連載『家族だって他人』第48回「他者と他人」
2022.12.19 連載『家族だって他人』第47回「静かな世界」
2022.12.12 連載『家族だって他人』第46回「ゆっくり家族になればいい」
2022.12.5 連載『家族だって他人』第45回「パッケージされる体験たち」
2022.11.28 連載『家族だって他人』第44回「家族のいる場所」
2022.11.21 連載『家族だって他人』第43回「根っこ」
2022.11.14 連載『家族だって他人』第42回「星空に願いを」
2022.11.7 連載『家族だって他人』第41回「その愛の対価」
2022.10.31 連載『家族だって他人』第40回「失くしたのは何か~産まれてこなかった命について~」
2022.10.24 連載『家族だって他人』第39回「とても狭い箱の中」
2022.10.17 連載『家族だって他人』第38回「時々犬になってみよう」
2022.10.10 連載『家族だって他人』第37回「親を越えてすすめ」
2022.10.3 連載『家族だって他人』第36回 「「頑張りすぎない」ように頑張る」
2022.9.26 連載『家族だって他人』第35回「「機嫌の悪いわたし」を知ろう」
2022.9.26 三軒茶屋開室記念コラム「困れる人の傍らに」
2022.9.19 連載『家族だって他人』第34回「真実は人の数だけ」
2022.9.12 連載『家族だって他人』第33回「ポン酢しょうゆが無くたって」
2022.9.5 連載『家族だって他人』第32回「秘密は誰にでもある」
2022.8.29 連載『家族だって他人』第31回「家族を始めること」
2022.8.22 つれづれコラム「暑中お見舞い申し上げます」
2022.8.22 連載『家族だって他人』第30回「虚構の前の僕と私」
2022.8.15 連載『家族だって他人』第29回「離れても暖めて」
2022.8.1 連載『家族だって他人』第28回「家族のカタチ」
2022.7.25 連載『家族だって他人』第27回「玉虫色の僕ら」
2022.7.18 連載『家族だって他人』第26回「心と言葉と行動と」
2022.7.11 連載『家族だって他人』第25回「ある朝のこと」
2022.7.4 連載『家族だって他人』第24回「矛盾は ものの上手なり」
2022.6.27 連載『家族だって他人』第23回「愛の凸凹」
2022.6.20 連載『家族だって他人』第22回「触れる 和らぐ 眠くなる」
2022.6.13 連載『家族だって他人』第21回「母性神話をやっつけろ」
2022.6.6 連載『家族だって他人』第20回「挨拶のすゝめ」
2022.5.30 連載『家族だって他人』第19回「シングル」
2022.5.23 連載『家族だって他人』第18回「川岸の向こうに」
2022.5.16 連載『家族だって他人』第17回「ほどよく関わるということ」
2022.5.9 連載『家族だって他人』第16回「響きあう家族」
2022.5.2 連載『家族だって他人』目次2 「閑話休題」
2022.4.25 連載『家族だって他人』第15回「夢のあとさき」
2022.4.18 連載『家族だって他人』第14回「あなたはあなた、わたしはわたし」
2022.4.11 連載『家族だって他人』第13回「家族の記憶」
2022.4.4 連載『家族だって他人』第12回「休みが必要だ」
2022.3.28 連載『家族だって他人』第11回「すき間のあのコやこのコの話」
2022.3.21 連載『家族だって他人』第10回「父の苦悩
2022.3.14 連載『家族だって他人』第9回「鏡は何を映すのか」
2022.3.7 連載『家族だって他人』第8回「話をするには」
2022.2.28 連載『家族だって他人』第7回 母の憂鬱
2022.2.21 連載『家族だって他人』第6回 親ガチャと言う勿れ?
2022.2.14 連載『家族だって他人』第5回 話しをしようよ
2022.2.7 連載『家族だって他人』第4回 優しい娘たちへ
2022.1.31 連載『家族だって他人』第3回 曖昧のすすめ
2022.1.24 連載『家族だって他人』第2回 血は水よりも
2022.1.17 連載『家族だって他人』第1回 殻の中の息子たちへ
2022.1.10 連載『家族だって他人』(プロローグ)
2021.12.2第8回 顧問なのかマスコットなのか
2021.11.6 第7回 時の過ぎゆくままに
2021.10.12 第6回 こだわりの…。
2021.9.10 第5回 出会うために、出会う。
2021.7.21 第4回 ほどよさのススメ―人間関係における圧について
2021.7.12 第3回 ケアに疲れたあなたへ
2021.6.30 第2回 気持ちに名前をつけてみる―ストレスと上手につきあうために
2021.5.21 第1回 人生のテキストと歴史という布 ―始まりの言葉に代えて―

 

お問い合わせはコチラまで

icon ご不明な点がございましたら、まずはお気軽にご相談下さい。
→お問合せフォームへ

→ご予約のお申込はこちらへ


 

ページトップに戻る