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コラム『家族だって他人』第15回 夢のあとさき 


 自分に子どもができた時、子どもにはあんなことをしてあげよう、こんなことを一緒にしようなど色々なことを思い描いたりすることは、よくあることだと思う。

 もっと言えば、もしかしたら一流のスポーツ選手になったり、オリンピックに出場したり、歌手や学者、ユーチューバーなどなど、なにかとてもすごい、ひとかどの人物になったりするかもしれないと、夢をみたりもする。

 夢を見ているうちは、楽しい。なんなら、そのために自分の時間もお金も投資して、親子で二人三脚しながら頑張ることもあるだろう。

 しかし、実際のところ、親が子どもにみる夢の大半は、打ち砕かれる。それは、子どもの能力的な問題だったり、子ども自身が自分の意志を持ち始めたことだったり、社会的な情勢や家庭環境が許さなかったりと色々な理由がある。

 とはいえ、どんな理由があったとしても、期待したものが失われるのは、悲しくやるせないものだ。エネルギーを注いだ分、ぶつけどころがない怒りが湧くこともあるだろう。まるっきりダメだと分かるなら諦めやすいかもしれない。ところが、親のひいき目抜きにしても、もうちょっと頑張ればなんとかなったりしないかな…? という淡い希望が見え隠れしてしまうと、なかなか諦めきれなかったりもする。

 そんな子どもへの期待をうまく諦め良きものに変えるために、少し考え方を変えて見るのはどうだろう。


 子どもに対して親が見る夢が、例えるならば初恋みたいなものだと思えたら、良いのかなと思う。淡くドキドキとした期待。そんな毎日の楽しさ。初恋が破れた時のショックや、思っていたのと違ったという幻滅。そうした様々な感情が恋をしている時は喚起される。やがて恋が終わり、時間が経った後に思い起こすと、甘酸っぱく心苦しく、でもキラキラとしたものがある。忘れたいけど忘れたくない、そのような感覚が残るものとして…。

 夢が打ち砕かれた時は、苦しく辛くとも、振り返るとそんな夢を見られた時間を楽しかったなと振り返えることが出来たなら、それだけでもとても素敵な時間だったと思えるだろう。

 もちろん、勝手に夢を託された子ども側にしてみると、なかなか荷の重い話だったりするのだが。

 そんな重い荷物を子どもに背負わせてしまう前に、親である大人の側が気づいたところで諦めよう。子どもが親の夢を叶えないまま道を違えたとしても、ともに歩いたことを良き思い出として残し、子ども自身の人生を応援できるように気持ちを切り替える。



それが、出来る ようになるためには、何が必要だろう?



 私たち大人がよく子どもに言うように、結果よりもその過程を大事にすること、大変なことも嬉しいことも今、ここで感じ、体験できることを味わい、楽しむこと。そういうあれやこれやを、子どもにだけ押し付けず親も一緒になって力いっぱいやり切ること。辛さの後には良いことがあると言い聞かせておざなりししないで、そういった「今ここで」の楽しさを積み重ねていく。そうすることで、悔いを残さないでいけるといい。

 自分が子供時代にみた夢と、自分の子どもに託そうとした夢と、それらの夢のあとさきに、思いもよらぬような新しい世界へ、一歩、踏み出していけるように。

                 (文責:K.N)

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