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コラム『家族だって他人』第8回 話をするには


 心が密になりすぎると間が持たない、間が持たないから話をしよう、話をして、たとえ家族であっても自分とは別の人だと言うことを思い出そう、という話を以前書きました。   

 が。話をすること、会話を交わすこと、これらを大事にするのはいいものの、具体的にはどうしたらいいんだっけ?と改めて考えてみると、これがなかなか難しい。

 わざわざ「話をしよう!」と言って始めるものではないですし、何から話したらいいものでしょう。また、話をする以前に、相手が私の話を聞いてくれない!というお悩みもあるあるです。いかん、常々各方面から、物事は具体的に考えよとあちこちから言われてきたのにこれではまずい。ということで話のしかたについて綴っていこうと思います。

 生きていれば、日々様々な出来事が起こります。つらいこと、嬉しいこと、悔しかったこと、楽しかったこと。そしてそれら一つの言葉では言い表せられないような複雑な思い。

 まずは、これらを何とか言葉にのせてみませんか。

 分けるのは、分かるためにすること。言葉遊びのようですが、渾然一体となった様々な感情を言葉でラベリングして分けていくことで、見えてくるものがあります。

 例えば公園でブランコを懸命にこいでいる子どもがいたとしましょう。自分の足の下でブランコが揺れるたびに変わる景色。その体験は清々しいだろうか?わくわくしているだろうか?風が気持ちいいだろうか?そういった体験に大人が関与して「気持ちいいね」「楽しいね」等と声をかけていくことで、子どもの中の言葉の概念は育つと言われています。

 年齢を重ねていても、似たようなことが言えます。一つの言葉にたくさんの思いが乗せられている場合も、乗せられたたくさんの思いを一つ一つ丁寧に見ていった方がいいことが多いように思います。

 最近は「モヤる」という大変便利な言葉がありますね。私も、その言葉の意味や使い方を知っています。…たぶん。そして確かにモヤることは私もありますし、何なら使うこともありますが、その便利な一言に甘えてしまうことをぐっとこらえて、細かく丁寧に、わかりやすい言葉に置き換えていくともやもやがハッキリスッキリして腑に落ちます。

 今多くの子どもたちが使う「ウザい」「めんどくさい」や若い人たちからよく聞かれる「エモい」という言葉も、文脈によって様々な意味が付け加えられがちな言葉ですが、これも言葉で分解して気持ちを語ってもらうと、その言葉を発した人の意外と奥深い心の動きが見て取れたりするものです(ちなみに、教育現場で出会う子どもたちがこれらの言葉を使った時には,私の場合

「へえ、どの辺が?」

と聞いていくとポイントがつかめることが多々あります)。

例えば「うざい」なら、

「しつこくていやだ」
「小うるさい」
「痛いところを突いてくるから嫌い」、

「めんどくさい」ならば

「やりたくない」
「やらなきゃならないのは分かってるけど気が重い」

等でしょうか。

 こんなふうに言葉で気持ちを切り分けていくことは、会話の中でうまく自分の気持ちを表現するためのいいレッスンになります。ある出来事と、それを受けてどう思ったか、というのはセットで話しやすいものです。

「こんなことがあったよ」

と事実を伝えるだけではもったいない。

「こんなことがあって、こんな風に感じたんだ」

というところまで話せば、そこから自然と話が拡がりやすくなります。

 そして話をすることのヒントは、ここにあります。話をすることの極意は聞くことにあり。まずは相手の気持ちに耳を澄ませること。そのうえで、何があったのか、どんなことを体験したのか。その時にどんなことを感じ、何を思ったのか。小さなことについてでも大きなことについてでも、互いに気持ちを語ること。

 相手が話をしてくれない、聞いてくれないと嘆く前に、まずはあなたが気持ちを言葉にしてみませんか?
          (文責:C.N)



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