葛と藤
最近富に「葛藤」と「葛藤すること」について考えている。英語では、コンプレックス;complexという。日本語では葛藤。葛(かずら)と藤(ふじ)。
葛:マメ科クズ属のつる性の多年草である。山野に生え、半低木となる。日本では、根を用いて食材の葛󠄀粉や漢方薬が作られ、花は万葉の昔から秋の七草の一つに数えられている。
(Wikipedia)
藤:マメ科フジ属のつる性落葉木本で日本の固有種。本州から九州にかけて分布する。花が咲く時期には「藤棚」が鑑賞・観光の対象となる。
(Wikipedia)
なるほど、どちらもツル草。これは絡まったら硬そうである。さらに調べてみたところ、語源は仏教用語「ツル草がもつれて解けない状態」を指し、これを断ち切れないことが煩悩の一つであるそうな。漢字の字面からなんとなく想像はついたけれども、こんがらがって大変な状態なのが「葛藤」であるのだな、と改めて思う。
そして大切なことは、葛藤はどの人の胸のうちにもあるということだ。
「父親との葛藤」や「母親との葛藤」というとちゃんと心理学しているように読めるが、英語にすると、ファザーコンプレックス、略してファザコン、マザーコンプレックスは略してマザコン。一気に世俗的な言葉になってしまうし、意味まで変わってしまう。困ったものである。
閑話休題。
葛と藤から想起されるのは、葛藤とは硬く絡まった感情のツル草のようだということだ。ではこれらは、どう扱えばいいのだろう。
絡まっているなら無理やり解けばいいだろうか?では解けない時はどうしようか?
ツルを断ち切ればいいだろうか?でも切ったら枯れてしまうとしたら?葛藤がなくなればそれはさっぱりするだろうけれども、しかし葛や藤が枯れたあとにその地は豊かになるだろうか?
などなど考え始めるときりがない。で、わたしが思いついたのは、人のうちにある葛や藤を、健やかに育てる方法はないのか、ということだ。枝葉や根の様子はどうだろうか、傷んでいないだろうか、そのツル草が根ざしている土の乾き具合や肥沃さは?
とまあ、植物を健康に育てるには細かく見て、手入れをする必要がある。これがまた大変なんであるが、葛も藤も育てがいは抜群だ。
繰り返すが、どの人も大小の違いはあれど、胸に葛藤を抱えている。それをどうするか、というそのやり方が、人の生き方と言えるのではないか。
(C.N)
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