予定詰め込み癖
春だ春だ、と言っていたら、あっという間に初夏の香りがやってきた。
ゴールデンウィークと呼ばれる大型連休も終わってしまった。みなさんは、連休で年度初めの疲れを、少しは癒せただろうか。連休こそ稼ぎどきで忙しい、という方ももちろんいると思う。そんな方は、今ほっと一息ついておられるだろうか。
何回か前のコラムで、隙間を埋めたくなってしまう話があったが、休み、つまり仕事のない日があると、予定を入れたくなってしまうのも、隙間を埋めたい願望のひとつだろうか。
ただのんびりするために「のんびりする場所」に行ったりするのは人間だけだろう。他の動物は、脅威がない場所にいたら、ただその場でのんびりするだけだ。
かく言う私も、「のんびりする」が苦手だ。とは言え、ずっと勤勉に動き回っているわけでもない。朝、目覚めてもなかなかベッドから出られずにごろごろしていたり、インターネットの情報の海に漂って無為に時間を過ごしたり、そういうことは簡単に出来る。むしろ、そういう風に無為に時間を消費したくないから、予定を埋めようとするのだ。
しかし、予定を入れ過ぎると、部屋が散らかったり、疲れが溜まったりして、部屋や自分自身を整えるための時間が欲しい、と思ったりする。だから、わざわざ片付けの日をつくったり、自分を整える日をつくったりする。
自分で書いていてなんだけど、厄介な思考だなあと思う。つまりは、限りある時間を無駄にするのではなく、なんとか有意義な時間を過ごそうとジタバタしているわけである。
しかし、無駄な時間と有意義な時間は、私の主観に基づくものであって、他人から見たら全然違う分類になるかもしれない。
例えば、料理をして食事をする時間は私にとって有意義でも、食事は栄養素を取れれば良いから、料理する時間は無駄、と思う人もいる。私は、お風呂にゆっくり浸かってリラックスする時間が好きだが、湯船でぼーっとする時間は無駄、と思う人もいる。
究極に無駄を減らしたら、味気ない日々になると思うし、「無用の用」なんてこともある。
そんなことも分かりながら、それでも隙間を埋めよう、無為に時間を過ごさないようにしよう、としてしまうのは、自分の生が、少しでも意味あるものであって欲しいと願う、人間の性なのかなあと思うと、ちょっと健気で愛おしい。
名を残そうとか、功績を上げようとか、そんなことは考えていないけど、ただ誰かや何かの役に立っていたいと思って日々を過ごす自分の、隙間を埋める癖や予定を詰込む癖を、うんうん、今日も頑張ってるね、と褒めてあげたい。
今週も予定がパンパンのあなたも、やろうと思っていたことが全然終わらなかったと嘆いているあなたも、頑張っていて偉い! 時間は相対的なものなので、頑張っているあなたの時間は、頑張らなかったときより、絶対に濃い。あなたの頑張りが、きっと誰かの役に立っているし、頑張る姿に励まされたり、救われたりしている人がいるよ。毎日お疲れさま。明日も一緒に頑張ろうね。
そして最後に一言。予定がない日を、ただのんびり過ごせるあなたは、私の憧れ(笑)
(M.C)
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